2023/07/19
リハライフプラス所長の頼田です。
今回は、「心にしまっていた『嫌われる勇気』を探して」というテーマで書いていこうと思います。
このまえ、毎月行っている所長会にて、以下のような話題が出ました。
「責任者は、スタッフを救うためにも、時には嫌われる事も必要だよね〜」
そのキーワードを聞いた瞬間、頭の中に、ある本のことを思い出しました。
そうです。名著中の名著『嫌われる勇気』です。
↑コレです。
アドラー心理学を、哲人と青年の対話形式でわかりやすく解説した一冊です。
いわゆる自己啓発本ですが、組織の責任者をやっていく上で超タメになる内容なので、久々に読み返してみました。
結果、首がもげるほどうなずき納得してしまったので、簡単な内容とともに振り返っていこうと思います。
目次
どんな本?
本の概要的には、要するに、
「他人からの承認とか評価なんて気にせず、自分の人生を主体的に生きて行こうよ!!」
的なことを書いているわけです。
まぁ、非常にありふれたテーマな訳ですが、
責任者としてスタッフとのコミュニケーションや教育をする上で、おさえておいた方が絶対やりやすくなる、って感じです。
一番多いのは対人関係での問題
店舗を運営していく上で、どの店舗でもだいたい同じような問題が起こります。
まずは、やはり対人問題。要するに人間関係です。
責任者として大きな役割りの一つに「スタッフの安定」があります。
リハライフの店舗は基本的にセラピスト、介護スタッフ、ナースの人員で構成されています。
スタッフの安定を紐解いていくと、
- 既存スタッフの成長
- 新人スタッフの定着
- 離職率の低下を防ぐ
- 向上心への刺激
- モチベーションの把握
みたいな感じでサクッと要素を分けることができます。
言葉で表すとなんだか簡単そうですが、これがめちゃ難しいんです。
「新人スタッフを定着させて、既存スタッフはもっと成長させていこう!」
要はこういう事ですよね。
新人スタッフの定着率を上げる事に関して、実は何年も悩んでいます。
うまくいくときもあればうまくいかない時もある。
ただ、最近は少し掴んできているような気もしていて。
安定しない原因は?
新人スタッフが辞める時にはだいたいのパターンがあります。
- 仕事の負担が大きすぎる
- コミュニケーションのトラブル
- 業務内容が合わない
- 職場の雰囲気や文化が合わない
- サポートや研修が不十分
- 期待感とのズレ
などなど。
上記の中でも特に多いのは
「コミュニケーションのトラブル」
じゃないですかね。
スタッフ間のコミュニケーションや情報共有がうまくいっておらず、新人スタッフが孤立感や戸惑いを感じるパターン。
スタッフによって指示内容が違う、あいまいで分かりにくい、指導する側の態度が冷たく感じ質問しづらい、既存スタッフとの関係がうまく築けない
なども良くあるパターンかなと思います。
名著を参考にしよう
そこでそこで、
「嫌われる勇気」
の考え方が当てはまるんじゃないかなーなんて思ったりしています。
そもそも「嫌われる勇気」では、
【他者の期待に応えようとする過度な努力はすべきでない】
というアドラー心理学の考え方が根本にあります。
これをスタッフ間の問題に当てはめると、
・既存スタッフ:新人スタッフに対して、過剰に期待しすぎてしまうことで、アドバイスや指導が一方的になったり、厳しめになったりしてしまう。
つまり、期待しすぎるのは良くない。育つには時間がかかると割り切ることが重要。
・新人スタッフ:先輩や上司の期待に応えようとしすぎて、自分を犠牲にしてしまったり、過度に頑張りすぎてしまい、結局良いパフォーマンスを発揮できず辞める。
つまり、適切な自分のペースがだいじ。
みたいな考え方ができるわけです。
それは誰の課題?
また、アドラー心理学では、
「課題の分離」
という考え方をめちゃくちゃ大事にします。
「課題の分離」とは、要するに
「相手の課題(行動や感情、決断)と自分の課題(指導やサポート)を分けて考える」
ということです。
噛み砕きます。
つまり
「他人がどう思うかは「他人の課題」だよね、わたしにゃコントロールできないよね!」
みたいなことです。
有名なことわざで、
『馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない』
ってのがあります。実際に飲むかどうかは馬が決めるよね〜ってことですね。
実際の現場にあてはめてみる
たとえば、新人スタッフがミスをしましたと。
この時の、
既存スタッフの課題としては、
- ミスの指摘をする。
- ミスの再発がないように適切なアドバイスをする。
がありますと。
新人スタッフの課題としては、
- 指摘を受けてどう行動するか
- ミスをどう改善するか
と、なってくるはずです。
この時がポイントで、
「ミスを改善するかどうかは新人の課題」であり、
既存スタッフがその結果に過剰に感情移入する必要はないですよ。
指導やアドバイスの後に、それをどう受けとりどう感じるかは新人スタッフの課題ですよ。
ってことですね。
反省してるかどうかを気にするな
もちろん、既存スタッフの気持ちもすごいわかります。
- 自分の指導の結果、ミスが起こったのだから何とか改善させたい。
- 前も同じ指導をしたのにまた同じミスを繰り返す
- ミスを起こしたのに反省していない、反省の態度が見えない
みたいな感情になります。だいたい誰でも。
しかも上記の、
「反省の態度が見えない、もっと反省せんといかん」
みたいなのって良くあるんですが、
これこそまさに「課題の分離」をしないといけない。
これなんですよね。
新人スタッフが「反省」しているかどうかなんて、既存スタッフの課題ではないんです。
相手がどう受け取ったのか、どう思ったのかは既存スタッフにはコントロールできない。
新人スタッフの課題なんです。
その点を理解していないと、責任感の強いスタッフなんかはすぐに負担や重荷に感じてきます。
変えるべきは新人スタッフの「行動」であり「ミスが起きない仕組み」を構築するべきなんですよね。
既存スタッフと新人スタッフのコミュニケーションに「課題の分離」をどう落とし込んでいくのか。
いざ実践
新人の指導という場面において、既存スタッフは
・責任感を持ちすぎない、期待しすぎない
この考え方が重要じゃないかと。
責任感を持って新人の指導に当たることはすごくだいじなことですよね。ただ、理解していないといけないことは、
「新人スタッフの成長は思ってる以上に時間がかかるよ」
ってことです。
ついつい、
「もっと指導しなくちゃ」
「早く成長してほしい、覚えてほしい」
って思ってしまいます。
新人スタッフに対しては、少し距離を置きつつ、また「まぁ多少ミスしてもしゃーない」ぐらいの気持ちでいると、お互いにとって良い方向にいくはず。
あなたは「嫌われる勇気」を持っているか?
と、ここまでは、既存スタッフと新人スタッフの関わりみたいな切り口で話を展開してきました。
しかし今回の所長会で話題にあがった、
「責任者は、スタッフを救うためにも、時には嫌われる事も必要だよね〜」
は、少し違う文脈でした。
責任者たるもの、「部下に好かれよう」みたいな気持ちで動くのではなく、
「成長のために時には厳しく接することが必要だよね」
的な意味です。
このあたりが「嫌われる勇気」から学べるリーダーシップの本質だと思っていて、
リハライフでは、というか組織においては
「上に行けばいくほど、自分で主体的に物事を決めていかないといけない」
んですよね。
既存スタッフや新人スタッフが成功するかどうかは、要するに責任者の行動・言動にかかってるよって事です。
なので、言わないといけない事はしっかり言う。
「言って嫌われるかも?どう言う言い方をすれば機嫌を損ねないかな?」
ってついつい考えがちですが、スタッフの事や、この先のことを考えての事であれば、時には厳しい事も言う必要があります。
「嫌われる勇気」から学べるリーダーシップを箇条書きにしてみます。
- 「厳しくも、優しさを持つ」
- 「失敗を許容する」
- スタッフとの距離感を適切に保つ
ごく当たり前のことですよね。
自分の胸に手を当てる
わたしはどうか?ちゃんとできているか?と考えてみましたが。。。
わたしは、やはり厳しいことを言う必要性はわかっていつつも、
ついつい言葉を選び、機嫌を伺うようにしていたように思います。
責任者として大切なのは、厳しくしなければならない時にはしっかりと指摘をし、その後は必ずサポートを行い、スタッフが自己成長を感じられるようにすることです。
リーダーが「嫌われる勇気」を持って、スタッフの成長を最優先に考えることが、結果的に信頼されるリーダー像を作り出します。
いやー、できてきなかったですね。反省です。
人は変われる
「嫌われる勇気」によると、アドラー心理学は
「人は変われる」
というスタンスです。
新人スタッフや既存スタッフの成長を諦めるのではなく、「人は変わる」スタンスを前提に、根気強く接していく必要があるでしょう。
また、わたし自身も変わることができます。
今まで述べてきたような、
「課題の分離」の考えを持って、あとはわたしが、
「これからどうするか」
しか考える必要がないからです。
「これからは、時には厳しく接する」と心に決めたのであれば、それを実行するのみです。
「今までの自分はこうだから。。。」「自分は控えめな性格だから。。。」
と思い込んでしまうと、何も変わることはないでしょう。
「自分はどうしたいか、どんな責任者でいたいか」
を常に考え、主体的に行動していくことでわたし自身を変えていこうと思います。
10年前の記憶
余談ですが、リハライフに就職して10年が経ちます。
10年前、まさに社長から読書を勧められ、この本をおすすめしていただきました。
読んだ当時は、
「よし!これからは嫌われる勇気を全面に出して、自分が普段言わないことも言って、強いリーダーになりきっていくぞ!!」
みたいな気持ちになっていました。
未熟なわたしはそんな上手なあんばいでコミュニケーションをとることもできず、スタッフの安定にさんざん苦労してきました。
時が経ち、さまざまな考え方や人生観を学んでいくうちに、だんだんと「嫌われないような他人主体なコミュニケーション」
をとるようになっていたと思います。
今回、所長会での会話がきっかけで、いろいろと考えることができました。
心にしまっていた「嫌われる勇気」を持って、来年はどんどんやっていこうと思った年の瀬でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうこざいました。
ではまた!